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青藍の巫女と術士の話 『雪、無音、平原にて』

 この話は現世界(2008年の2月) でわたしが術士さんに出会ってから、その少し後に思い出した記憶です。


 以下クリックでどうぞ~↓






 音も無く、静かに白い雪が空から舞い降りる。
 それは山々や森、草木の上に降り積もり、白い世界へと変えていく。

「……大丈夫ですか?」
 落ち着いた男性の声で、わたしに語りかけてくる。
「うん、平気」
 自分の横にいる長身の男性は黒い外套姿で、大きな左手でわたしの小さな右手を包みこむようにして握ってくれていた。
「これからどこに行くの?」
 顔を上げたわたしが彼に尋ねてみた。
「そうですね……とりあえず、どこか休める場所を探します」
 少し困った口調で男性が応えると、雪が舞う空へと視線を移した。 
「……ごめんなさい」
「え?」
 どうしてですか?と訊ねる顔で、彼はわたしの方を向いた。
「神官さまたちの話、わたし立ち聞きしてたの」
 そのことをわたしが口にした途端、彼の足がぴたり、と止まった。
「わたしがこのままあの神殿にいるのは危険だってこと……わたしだけでなく他にも何人もいたのに、あなたがわたしをあそこから出してくれたのは―」
「そこまで」
 わたしの言葉を彼が止めると、ふう、と小さく息をついた。
「……あの話、聞いていたのですね」
 彼にそう言われたわたしは、無言で首を小さく縦に振った。
「実はあなたをはじめとした巫女たちの『力』を欲する人間が、あの内部にいたんです。そしてその人物につながる内通者も。彼らは外部所轄から来た神官に成りすまし、強い『力』を持つ巫女を探していた。その事に気づいた別の神官が上層部に報告し、数名の巫女を別の場所の神殿へ移動させる、という話し合いをしていたんです」
「それじゃあ、あの夜の事件は……」
「巫女たちを拉致しようとした"連中"に故意に起こさせたんです。それに便乗して、私はあなたを神殿から連れ出しました」
「そうだったの……でもどうしてわたしを?」
「上層部の神官に頼まれたのです。元々私は別の機関からの要請で、彼らからあなたの護衛を依頼された」
「それでずっと、神官としてあの神殿にいたのね」
「……はい」
 そう答えた彼が再び歩き出すと、わたしは慌ててその後についていった。


 今から半日前の夜、突如神殿内に侵入した黒衣の賊団。
 連中が現れるのを知っていた神殿の護衛兵たちが抵抗している隙に、わたしを含めた巫女と神官たちは神殿の後宮にある裏道を抜けて脱出した。しかし、出口からすぐのところで彼がわたしの腕を取り、彼女たちとは別行動で北の方へと逃げ延びた。


「そういえば、みんなは無事なのかな」
「他の神官たちが誘導していますから、大丈夫ですよ」
「うん、そうだよね……」
 粉雪が降る中で彼と話しながら歩いていくと、遠くにぽつりぽつり、と黄色い灯りが見えてきた。
「どうやら集落が見えてきたようですね」
「あ、ほんとだ」
「もう少しですね、着いたらゆっくり休息を取りましょう」
 彼がそう微笑って、わたしの左手を握り直す。
 その手の温もりがじんわりと伝わるのを感じながら、わたしは彼と共に灯りが見える方へと歩き出した。
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